周期とホルモン|腟の中の環境

腟の自浄作用とは?酸性を保つしくみ

腟の中は、乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)という常在菌のはたらきで酸性に保たれ、病原菌が増えにくくなっています。これが「腟の自浄作用」と呼ばれるしくみです。

pHの目安
3.8〜4.2(MSD専門版)、厚労科研班は「4前後」
主役の菌
乳酸桿菌。妊娠可能な年齢の腟内細菌の主体
崩れる原因
腟洗浄、閉経、精液、腟用製品、感染、抗菌薬など
洗い方
腟の中は洗わない。外陰は無香料の石けんで

更新日:2026年10月31日|poruchio.jp編集部

酸性に保たれるしくみ

pH0pH2pH4pH6pH8 腟の通常 3.8〜4.2 6を超える ←酸性が強い酸性が弱い・中性に近い→
模式図:pHの目盛りと、腟の通常の範囲。数字は典型的な範囲で、人や時期で変わります。

腟内の菌の主体は乳酸桿菌で、腟の中の酸性度を保ち、病原菌が異常に増えるのを抑えています。酸性度が下がると乳酸桿菌が減り、炎症を起こす菌が増えて、細菌性腟症が起こりうるとMSDマニュアルは説明しています。

pHが上がる原因には、閉経、精液、腟用製品の使用、感染があります。ホルモンの変化で、月経の直前・月経中・妊娠中は酸性度が下がることもあります。閉経後の変化は更年期以降の腟と外陰部の変化で説明しています。

洗いすぎがよくない理由

MSDマニュアルは、腟の中の洗浄(腟洗浄)を行わないよう勧めています。感染から守ってくれる常在菌を洗い流し、酸性度を下げるため、感染のリスクが高まるからです。骨盤内炎症性疾患のリスクを高めうるとも書かれています。NHSも、腟洗浄や腟用の洗浄剤、デオドラントを使わないよう勧めています。

  1. 外陰部は、刺激の少ない無香料の石けんで洗い、よくすすぐ
  2. おしりを拭くときは、前から後ろへ拭く
  3. ナプキンや失禁パッドはこまめに替える
  4. タンポンを長時間入れたままにしない
  5. 陰部は清潔にして乾かす

崩れたときに起きること

細菌性腟症腟カンジダ症
原因乳酸桿菌が減り、他の菌が増える真菌(カンジダ)の増殖。抗菌薬で常在菌が減るとリスクが上がる
特徴灰色〜黄緑でさらさら、生臭いにおい。かゆみは少ない。約半数は無症状(NHS)かゆみ、灼熱感、赤みや腫れ、白いかたまり状のおりもの
きっかけ性行為のない人にも起こる。腟洗浄が関わりうる月経の直前、糖尿病、妊娠、免疫の低下
治療抗菌薬。通常2〜3日で治るが再発も少なくない抗真菌薬(クリーム・腟坐薬・内服)

どちらも性行為で感染する病気ではない、とMSDマニュアルは説明しています。おりものでの見分け方はおりものが周期で変わるしくみにもまとめています。

確かめられなかったこと

「デーデルライン桿菌」という名前や、乳酸・グリコーゲンの役割を明記した公的なページは、今回確かめた範囲では取得できませんでした。そのため、ここでは乳酸桿菌のはたらきを、資料に書かれた範囲に絞って書いています。pHは資料により3.8〜4.2、「4前後」と幅があり、4.0に固定した言い方は避けています。

受診の目安

おりものにかゆみや生臭いにおいがある、外陰部や腟が赤い・ヒリヒリ痛む、普段と違うおりものが数日以上続くときは、診察を受けてください。NHSは、腟カンジダと思われる症状が初めてのとき、12か月に4回を超えて起こるとき、治療で良くならないとき、妊娠中・授乳中、免疫が低下しているときは、医師に相談するよう書いています。

よくある質問

腟の中は洗ったほうがよいですか?

いいえ。MSDマニュアルとNHSは、腟の中を洗う腟洗浄を勧めていません。常在菌を洗い流して感染しやすくなるためです。

腟の自浄作用は何で保たれていますか?

乳酸桿菌という常在菌が腟の酸性を保ち、病原菌の増殖を抑えています。

出典

この解説は、下に挙げた公的機関・学会・医学情報サイトの記述を読み、書かれている範囲で編集部がまとめたものです。診断や治療の代わりにはなりません。気になる症状があるときは、医療機関で相談してください。