何が変わるか
| 閉経前 | 閉経後に起こりうる変化 | |
|---|---|---|
| 組織 | ひだがあり、しっとり | 薄く乾燥して見える。ひだが消える、組織がもろくなる |
| 伸縮性 | よく伸びる | 下がる。腟が短く狭くなりやすい |
| pH | 酸性(4前後) | 上がる。GSMを支持する所見の例として、pH5超が挙がる(英語の総説) |
| 血流 | 刺激で血流が増える | 刺激に対する血流が減る |
| おりもの | 周期で変わる | 多くの場合、量が減る |
変化の背景にはエストロゲンの低下があります。GSMという用語は、2014年に承認された比較的新しい言葉で、「外陰腟萎縮」「萎縮性腟炎」に代わるものです。性器の症状、性に関する症状、尿の症状を含みます。腟の酸性が保たれるしくみは腟の自浄作用で、潤いの面は腟が潤うしくみで説明しています。
どのくらいの人に起こるか
最も多い症状は腟の乾燥です。MSDマニュアルも、閉経期の女性の約半数にGSMが起こるとしています。日本の学会が示す頻度の数字は、今回確かめた範囲では見つかりませんでした。
対処の選択肢
英語の総説では、ホルモンを使わない潤滑剤と、長く効く腟用保湿剤が、外陰腟の症状の第一選択とされています。ヒアルロン酸系の保湿剤が、局所の腟エストロゲンと同程度に症状を和らげた研究が2件あります。
MSDマニュアルは、局所のエストロゲン療法(クリーム、錠剤、リング)が、全身のホルモン療法より効果的で有害作用のリスクも低く、通常はこちらが好まれると説明しています。低用量の腟エストロゲンでは、血中のエストラジオールは閉経後の正常範囲にとどまります。原因不明の性器出血がある人には使えず、エストロゲンの影響を受ける腫瘍がある人については議論があります。ほてりなども強いときは全身療法が検討されます。
更年期はどのくらい続くか
日本産科婦人科学会によると、更年期は閉経の前後5年ずつ、合わせて10年間です。日本人の閉経の平均は50歳前後で、40代前半から50代後半まで個人差があります。閉経は月経が1年以上ないことを確認して診断します。NHSは、腟の乾燥・灼熱感・かゆみなどの症状が通常7〜9年、さらに長く続くこともあるとしています(英語)。
受診の目安
- 腟の乾燥が数週間のセルフケアで良くならない
- 日常生活に支障がある
- 普段と違うおりものがある
- 性行為のあと、月経と月経の間、または閉経後に出血があった(最後の月経から12か月以上たってからの出血は、受診してください)
- 性行為のときの痛みが続く。痛みの分け方は性行為のときの痛みは場所で原因が分かれるをご覧ください
よくある質問
GSMとは何ですか?
閉経に伴う、外陰・腟・下部尿路の変化による症状と所見をまとめた用語です。腟の乾燥や痛み、尿の症状などを含みます。
腟の乾燥には何を使えばよいですか?
水性の潤滑剤や腟用保湿剤が、まず挙げられます。局所のエストロゲンなどは医師の判断が必要です。
出典
- Recent Review of the Genitourinary Syndrome of Menopause, J Menopausal Med 2015 (英語)
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「炎症性腟炎」
- MSDマニュアル家庭版「閉経」
- NHS「Vaginal dryness」 (英語)
- NHS「Menopause symptoms」 (英語)
- 日本産科婦人科学会「更年期障害」
この解説は、下に挙げた公的機関・学会・医学情報サイトの記述を読み、書かれている範囲で編集部がまとめたものです。診断や治療の代わりにはなりません。気になる症状があるときは、医療機関で相談してください。