
3つの筋でできている
骨盤底の中心は肛門挙筋で、次の3つに分かれます。ほかに尾骨筋が別に数えられます(臨床解剖の資料・英語)。
| 筋 | 特徴 |
|---|---|
| 恥骨尾骨筋 | 厚い部分。厚さは1〜2cm |
| 恥骨直腸筋 | 直腸の後ろを回るU字の吊り帯 |
| 腸骨尾骨筋 | 薄い。厚さは0.5〜1cm |
肛門挙筋は臓器を支え、おなかの中の圧のつり合いを保ち、直腸の緊張を保ち、排尿の開始と終了にも関わります。
弱る原因
- 出産。特に分娩の第2期が長い場合、経腟分娩、大きな赤ちゃん。経腟分娩の回数が多いほどリスクが上がる
- 肥満、子宮摘出などの手術、加齢
- いきむ動作や重い物を持つこと、慢性の咳
- 帝王切開は、経腟分娩よりリスクが低い可能性があるとされる(MSDマニュアル)
産後の変化と回復の目安は産後の骨盤底と回復の目安で説明しています。
尿もれと臓器の下がり
日本泌尿器科学会によると、女性の尿もれでいちばん多い腹圧性尿失禁は、尿道括約筋を含む骨盤底筋群がゆるんで起こります。週に1回以上経験する女性は500万人以上、40歳以上の女性の4割以上が経験しているとされ、多くは恥ずかしさで我慢しているとも書かれています。
臓器が腟のほうへ下がる骨盤臓器脱では、軽い段階(ステージI・II)なら骨盤底筋を強めて症状の改善が期待できるのに対し、ステージIII・IVでは改善はほとんど得られない、とされています。隣り合う臓器との関係は骨盤の中の臓器の並び方をご覧ください。
骨盤底筋体操は、資料で書き方が違う
体操の秒数や回数は、公的資料ごとに少しずつ違います。1つの数字に決めず、書き方の違いをそのまま並べます。
| 資料 | 書かれている内容 |
|---|---|
| MSDマニュアル家庭版 | 尿を止めるときに使う筋肉を1〜2秒強く縮め、約10秒ゆるめる。約10分を目安に1日数セット。座位・立位・臥位のどれでもよい |
| MSDマニュアル専門版 | 1〜2秒縮め約10秒ゆるめることを約10回、1日数回。ステージI〜IIの脱で最初に行う |
| NHS(英語) | 長く締める(最大10秒)と短く素早く締めるを各10回、1日3回以上。息を止めない、おなかを引っ込めない |
| 日本泌尿器科学会 | 尿道の周りの筋と骨盤底筋群を強める。回数や秒数の記載はない |
MSDマニュアルは、正しい筋肉かどうかを、排尿中に2〜3回縮めて尿が途中で止まるかで確かめる方法を示しています。MSD専門版は、体操は症状を軽くしても、脱の解剖学的な重さは減らさないようだとも書いています。「何か月で効果が出る」という数字は、確かめられた資料がありませんでした。
相談先
日本泌尿器科学会は、尿もれは我慢せず泌尿器科へ、何かが下がってきた感じがあるときも泌尿器科専門医への相談を勧めています。NHSは、腟の中や周りにしこりがあるとき、尿失禁があるときは、かかりつけ医に相談するよう書いています。反対に、骨盤底筋が縮んだまま固まる状態もあります。こちらは緊張で体がこわばるのはなぜで説明しています。
よくある質問
骨盤底筋は鍛えたほうがよいのですか?
軽い尿もれや軽い臓器脱では、骨盤底筋を強めることで改善が期待できるとされています。ただし、筋肉が固くなっている場合は評価が先になることがあります。気になるときは医師に相談してください。
骨盤底筋の体操は何回すればよいですか?
資料で書き方が違い、1つに決められません。MSDは1〜2秒縮め約10秒ゆるめる、NHSは各10回を1日3回以上としています。
出典
- GLOWM「Clinical Anatomy of the Vulva, Vagina, Lower Pelvis and Perineum」 (英語)
- MSDマニュアル家庭版「骨盤臓器脱(POP)」
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「腟前壁脱および腟後壁脱」
- 日本泌尿器科学会「尿が漏れる・尿失禁がある」
- 日本泌尿器科学会「何かが下がってきた」
- NHS「Your post-pregnancy body」 (英語)
- NHS「Pelvic organ prolapse」 (英語)
この解説は、下に挙げた公的機関・学会・医学情報サイトの記述を読み、書かれている範囲で編集部がまとめたものです。診断や治療の代わりにはなりません。気になる症状があるときは、医療機関で相談してください。