時期ごとの目安
| 時期 | 起きること(MSDマニュアル) |
|---|---|
| 数日以内 | 経腟分娩のあと、肛門括約筋の損傷がなければ、骨盤底筋体操(ケーゲル体操)を始められることが多い |
| 1〜2週間 | 腟とまわりの腫れが消える |
| 約4〜6週間 | 子宮が妊娠前の大きさに戻る |
| 約6週間 | 裂傷や会陰切開の傷が完全に治る。悪露は最長このころまで。タンポンは分娩後6週間は使わない |
| 帝王切開の場合 | 傷が治るまで(通常約6週間)運動を始めず、重い物を持つのも約6週間避ける |
産後健診は、出産後6〜8週間ごろに行われます(NHS・英語)。骨盤底の支えのしくみは骨盤底筋のしくみで説明しています。
骨盤底の筋力はどこまで戻るか
ノルウェーの研究(235人を解析)では、通常の経腟分娩のあと12か月の時点でも、骨盤底筋の力は妊娠中の水準に完全には戻りませんでした。筋力は妊娠中より約7%低く、腟の安静時の圧は約20%低いままでした。器械分娩と、肛門挙筋の大きな裂傷は、回復がより悪い要因でした。帝王切開の群では筋力が上がっていました。数字は概数で、要旨と本文で少し違います。
MSD専門版は、骨盤底筋体操が効くかどうかは「不明」としつつ、準備ができ次第始めてよいとしています。傷のあとの慢性的な会陰の痛みや、性行為のときの痛みには、第一選択に挙げています。「何か月で元に戻る」と言い切れる期間は、確かめられた資料にありませんでした。
尿のこと
分娩に伴う陰部神経の損傷で、尿意を感じにくくなることがあります。産後の尿閉(尿が出にくい状態)は、通常1〜14日以内に消えます。強い排尿痛、頻尿、膀胱が空にならない感じがあるときは受診してください。尿もれの種類と相談先は骨盤底筋のしくみの「尿もれと臓器の下がり」で説明しています。
性行為の再開について
MSDマニュアル家庭版は、少なくとも分娩後6週間、または裂傷や会陰切開が完全に治るまで待つよう勧めています。帝王切開の場合は傷が治るまでです。専門版は数字を示さず、傷が治り、本人が望み、楽であれば再開してよいとしています。NHSの該当ページには、時期の数字の記載がありません。日本の学会の目安は、確かめられませんでした。
- 痛いときはやめて受診する
- 授乳中は腟が乾くことがある。重い痛みが続くときは医療者に相談する。乾きのしくみは腟が潤うしくみへ
- 妊娠の可能性は、分娩後2週間で再び出てくる場合がある。避妊は再開前から考える
受診のサイン
MSDマニュアル家庭版は、次のようなときは医療機関に連絡するよう挙げています。
- 生理用ナプキンが1時間ごとの交換で2時間以上続く出血
- ゴルフボールより大きな血のかたまり
- 悪臭
- 出産から1週間以内の38度以上の発熱
- 帝王切開の傷の痛み・赤み・腫れ・浸出液
- 脚の腫れや痛み、突然の胸の痛み、息切れ
NHSは、困りごとはいつでもかかりつけ医や助産師に相談でき、6〜8週間の産後健診は話す機会になると書いています。
よくある質問
産後の骨盤底筋体操はいつから始められますか?
経腟分娩のあと、肛門括約筋の損傷がなければ、通常は数日以内に始められるとMSDマニュアルは書いています。帝王切開の場合は傷が治ってからです。
産後の性行為はいつから再開できますか?
MSD家庭版は少なくとも6週間、または傷が治るまでとしています。専門版は傷が治り、本人が望み、楽であればとしています。痛いときは止めて受診してください。
出典
- MSDマニュアル家庭版「産褥期のケアの大まかな説明」
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「産褥の管理」
- MSDマニュアル家庭版「骨盤臓器脱(POP)」
- Recovery of pelvic floor muscle strength after childbirth, Int Urogynecol J 2022 (英語)
- NHS「Your post-pregnancy body」 (英語)
この解説は、下に挙げた公的機関・学会・医学情報サイトの記述を読み、書かれている範囲で編集部がまとめたものです。診断や治療の代わりにはなりません。気になる症状があるときは、医療機関で相談してください。