4つの要素で見る
| 要素 | 資料に書かれていること |
|---|---|
| 性欲 | ホルモンと中枢神経の因子が関わる。ドパミン、ノルアドレナリン、メラノコルチンは促進、セロトニン、プロラクチン、GABAは抑制的に働くとされる |
| 興奮 | 刺激から数秒以内に、性器の血管のまわりの平滑筋がゆるんで充血し、腟の上皮から間質液が出て潤滑が生じる。腟液の仕組みは腟が潤うしくみで説明 |
| 絶頂 | 直前に全身の筋緊張が高まり、骨盤底の筋がリズミカルに収縮する。収縮の間隔は約0.8秒ごと(専門版・典型値)。その後、充血はゆっくり戻る |
| 消退 | 絶頂のあとの満足感、全身の弛緩または疲労感。強い興奮のあとは、絶頂がなくてもゆっくり起こることがある。直後から追加の刺激に反応できる女性もいる |
「直線」と「円環」のモデル
性反応の説明には、いくつかのモデルがあります。「興奮・プラトー・絶頂・消退」の4段階で性器の反応を中心にした直線のモデル(マスターズ&ジョンソン)、これを「欲求・興奮・絶頂」の3段階に改めたモデル(カプラン)、そして円環のモデル(バッソン)です。
円環のモデルでは、欲求が最初に自然に起こるとは限りません。親密さなどほかの動機から始めて、刺激と興奮が進む中で「反応としての欲求」が生じ、満足が親密さを増して次の意欲につながる、と考えます。133人の調査では、自分に合うモデルとして、マスターズ&ジョンソンが30%、カプランを加えたものが27%、バッソンが29%、どれも合わないが14%でした。どのモデルも、すべての人に当てはまるとは言えません。
個人差の大きさ
- 女性は充血に常に気づくわけではない。性器のピリピリ感や拍動感は、若い女性でより多く報告される
- 加齢で基礎的な血流は減るが、刺激に対する充血は減らないことがある
- 性欲は加齢とともに一般に低下するが、新しいパートナーがいると年齢を問わず高まりうる
- 気分や関係の質の影響も大きい
確かめられなかったこと
心拍数・呼吸数・血圧がどのくらい変わるか、という具体的な数字は、確かめた資料に記載がなく、書いていません。「プラトー期に腟の内側が広がる」といった段階ごとの細かい変化も、公的な資料では説明を確かめられませんでした。日本産科婦人科学会や日本性科学会の一般向けの説明も、見つかりませんでした。緊張と体の関係は緊張で体がこわばるのはなぜで説明しています。
悩みの分類と相談先
DSM-5では、女性の性機能の悩みを、女性オルガズム障害、女性の性的関心・興奮障害、性器と骨盤の痛みの障害、物質・医薬品誘発性性機能不全などに分けます。診断には、症状が6か月以上続き、強い苦痛があり、ほかの問題では説明できないことが必要です。悩みがあっても苦痛がなければ、診断されません。
米国では女性の約12%に、苦痛を伴う性機能の問題があるとされます。SSRIなどの薬、甲状腺や糖尿病などの病気、うつや不安も原因になります。新しい悩みは、まずかかりつけで診察を受け、閉経の状況や腟の乾燥・痛みを確かめるよう勧められています。痛みの面は性行為のときの痛みは場所で原因が分かれるをご覧ください。
よくある質問
性反応の4つの要素とは何ですか?
MSDマニュアルでは、性欲・興奮・絶頂(オルガスム)・消退の4つです。順番や有無は人や場面で変わります。
欲求がわかないのは異常ですか?
円環のモデルでは、欲求が最初に起こらず、親密さなど別の動機から始まることがあると考えます。苦痛や悩みがあるときは、医療機関で相談できます。
出典
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「女性の性機能および性機能障害の概要」
- MSDマニュアル家庭版「女性の性機能および性機能障害の概要」
- Thomas & Thurston, Maturitas 2016(女性の性機能の総説) (英語)
この解説は、下に挙げた公的機関・学会・医学情報サイトの記述を読み、書かれている範囲で編集部がまとめたものです。診断や治療の代わりにはなりません。気になる症状があるときは、医療機関で相談してください。